2026.10.21
「水は1人1日3リットル、最低3日分」。防災の備えとして、この目安を一度は聞いたことがあるはずです。ところが、実際の大地震では断水が3日で終わるとは限りません。備蓄した水を飲み切ったあと、蛇口から水が出るまでの数週間、場合によっては数か月をどうしのぐか。ここが家庭の水の備えの本当の分かれ目です。
この記事では、過去の地震で断水がどれくらい続いたかを確認したうえで、「備蓄水でつなぐ期間」と「浄水器で水をつくる期間」を分けて考える水の計画を、防災浄水器「コッくん飲めるゾウ」を例に解説します。
この記事でわかること
農林水産省は、災害からライフラインの復旧までに1週間以上かかった事例が多いことや、支援物資が3日以上届かない可能性を踏まえ、1人あたり最低3日分から1週間分の家庭備蓄を勧めています。水の目安は、飲料水と調理用水をあわせて1人1日およそ3リットルです。
つまり「3日分」は、救助や支援の体制が整うまでを自力でしのぐための最低ラインであって、「3日たてば水道が戻る」という意味ではありません。4人家族で7日分を備えると84リットル、2リットルのペットボトルで42本。多くの家庭では、これ以上を保管し続けるのは現実的ではないはずです。
日本水道協会が国土交通省の資料としてまとめた断水戸数の推移を見ると、地震によって復旧のスピードは大きく異なります。
| 地震 | 断水の約9割が解消するまで |
|---|---|
| 熊本地震(2016年) | 約1週間 |
| 東日本大震災(2011年) | 約3週間 |
| 能登半島地震(2024年) | 約11週間 (約1週間で5割、約3週間で6割程度の解消) |
※出典:日本水道協会「令和6年能登半島地震における日本水道協会の応援活動と得られた課題・教訓」(国土交通省掲載資料)の断水戸数推移より。
能登半島地震では、国土交通省によると最大で約14万戸が断水しました。浄水場や基幹の管路といった水道システムの「急所」が被災したことが、復旧の長期化につながったとされています。さらに輪島市や珠洲市の一部では、2024年7月の時点でも水道の復旧が完了していない地区が残っていました。
「3日分の備蓄」で足りるのは、断水がもっとも短く済んだケースだけ
熊本地震のように1週間程度で戻るケースでも、7日分の備蓄が必要です。東日本大震災や能登半島地震の規模になると、備蓄だけで最後まで乗り切るのはほぼ不可能だと考えておくべきです。
もうひとつ知っておきたいのは、地域の配水管に水が通ったあとも、家の敷地内の配管が地震で壊れていれば蛇口からは水が出ないという点です。地域としては「断水解消」と発表されていても、自宅の水回りの修理が終わるまでは、実質的な断水が続くことがあります。
断水が長引けば、給水車や給水所で水を受け取ることになります。給水そのものはありがたい支援ですが、そこから先は自分で運ぶのが基本です。
家に浄水器があれば、浴槽の残り湯や雨水、期限切れのペットボトル水など「家にすでにある水」を飲み水に変えられるので、給水所に通う回数そのものを減らせます。給水を待つ側から、自宅で水をつくる側に回れるかどうか。長期の断水ではこの差が、体力と時間の差としてそのまま表れます。
備蓄水と浄水器は、どちらか一方を選ぶものではありません。役割を分けて、時間軸で組み合わせるのが現実的です。
PHASE 1|発災〜3日目
備蓄水で「つなぐ」
片付けや安否確認で手が回らない時期。開ければすぐ飲めるペットボトル水を使います。浄水器は組み立てと置き場所の確保だけ済ませておきます。
PHASE 2|4日目〜断水解消
浄水器で「つくる」
備蓄が減ってきたら、家にある水を原水にして飲料水をつくる運用に切り替えます。給水所は「足りない分を補う場所」に変わります。
PHASE 3|復旧後
備えを「戻す」
使った備蓄水を買い足し、浄水器の使用量や汚れ具合を確認。次の災害に向けて、備えを元の状態に戻します。
この考え方のよいところは、備蓄水を「断水の全期間分」ではなく「最初の数日分」だけ用意すればよくなる点です。42本のペットボトルを置く場所がなくても、数日分の備蓄と浄水器1台があれば、長期戦に備えられます。
フェーズ2で浄水器がつくるべき水の量は、次の式で見積もれます。
家族の人数 × 3L × (想定する断水日数 − 備蓄日数)
たとえば4人家族で、備蓄が3日分、断水が30日続いた場合を考えてみます。
4人 × 3L × (30日 − 3日) = 324L
1日あたりにすると約12L。
※1人1日3L(飲料水+調理用水)で計算した目安です。
324Lは、2Lペットボトルなら162本分。これを備蓄で用意するのは困難ですが、浄水器なら1日約12Lを毎日つくっていけば届く量です。参考までに、メーカー公表の浄水能力で324Lを割ると、飲めるゾウ ミニ(約250L/時)なら合計約1.3時間、飲めるゾウRO(約52L/時)でも合計約6.2時間分にあたります。1か月の断水でも、浄水に使う時間そのものは1日数分〜十数分の作業で済む計算です。
フィルターの持ちは原水しだい
浄水できる総量は、原水の汚れ具合によって大きく変わります。きれいな水から先に使うといった原水ごとの使い分けは、ミニとROの選び方を解説した記事で詳しく紹介しています。
断水中の水は、すべてを飲み水の品質にする必要はありません。浄水器でつくる水は口に入るものに回し、それ以外は原水のまま使うと、フィルターへの負担もポンプを押す手間も減らせます。
| 用途 | 使う水の目安 |
|---|---|
| 飲む・調理 | 浄水した水(または備蓄水) |
| 歯みがき・うがい | 浄水した水 |
| 食器・食材を洗う | 浄水した水(すすぎだけでも浄水した水に) |
| 手洗い・体を拭く | 浄水した水がおすすめ。量が足りないときは優先度を下げて調整 |
| 掃除・洗濯の予洗い | 原水のままで可 |
| トイレ | 浄水は不要。ただし地震後は排水管の安全確認が先 |
※原水に使える水の種類は機種ごとに異なります。各商品ページの「浄水可能な水」と取扱説明書を必ず確認してください。
特にトイレは要注意です。地震のあとは、排水管が壊れていると水を流した瞬間に汚水が逆流することがあります。流してよいかの判断手順は在宅避難の排水管チェック手順の記事で解説しています。
断水が長引くと、「時間のあるときに数日分まとめて浄水しておこう」と考えがちです。しかし、浄水した水はその日に使う分だけをつくるのが基本です。
理由は塩素です。水道水には消毒のための塩素が含まれていて、これが細菌の繁殖を抑えています。札幌市水道局は、汲み置いた水道水でも涼しい場所で3日〜1週間を目安に入れ替えるよう呼びかけており、塩素がなくなると細菌などが繁殖しやすくなると説明しています。
一方、コッくん飲めるゾウは、ミニ・ROとも「家庭用品品質表示」に定められた13物質の除去を商品ページでうたっています。この13物質には遊離残留塩素が含まれます。つまり浄水後の水は、においや雑味が抑えられる一方で、塩素による消毒効果は期待できない状態になっていると考えるのが自然です。
浄水した水の扱い方 3つのルール
保存の目安や使い方の細部は、必ず取扱説明書の指示に従ってください。
フェーズ2に入ったら、水の作業を1日の流れに組み込んでおくと迷いません。4人家族を想定した一例です。
その日の飲料水をつくる
タンクに原水を入れて加圧し、飲料水と調理用の約12Lを浄水。朝食の調理、歯みがきもこの水で。
足りない分だけ給水所へ
原水の残りが心もとなければ、給水所で受け取った水を原水や生活用水の補充に回します。
夕食と片付けに必要な分を追加で浄水
食器のすすぎや手洗いに使う量が多い日は、ここで追加の浄水を。
翌日の原水を確保・残った水を仕分け
雨が降れば雨水を受け、使い残した浄水は飲用以外へ。翌朝すぐ作業に入れるよう原水をそろえておきます。
作業の担当を家族で決めておくのも有効です。浄水器は手動ポンプで軽く加圧するだけなので、力に自信がない家族でも扱えます。いざというときに誰でも使えるよう、平時に一度、家族で実際に浄水してみておくと安心です。組み立てや加圧の様子は「コッくん飲めるゾウ ミニ」の検証記事で写真付きで紹介しています。
Q浄水器があれば、ペットボトルの備蓄はいらなくなりますか?
いいえ、数日分の備蓄は残しておくのがおすすめです。発災直後は片付けや安否確認で手が回らず、原水の確保もままなりません。備蓄水で最初の数日をつなぎ、浄水器で長期戦をしのぐ組み合わせが現実的です。
Q給水車でもらった水も、浄水器に通したほうがいいですか?
給水された水は、配られた時点では飲用できる水として提供されています。ただし、受け取った容器の衛生状態や、持ち帰ってから時間が経った場合は状態が変わることがあります。すぐに飲む分はそのまま、数日置いた水や生活用水として保管していた水を飲み水にしたいときは、浄水器の原水として使うといった使い分けが考えられます。
Q浄水した水は、煮沸してから飲むべきですか?
メーカーは、厚生労働省登録検査機関での水質検査の結果を公表しています。使い方は取扱説明書の指示に従ってください。そのうえで、つくってから時間が経った水や、受けた容器の衛生が気になる水は、飲用ではなく加熱調理や生活用水に回すと安心です。
Q停電と断水が同時に起きても使えますか?
ミニ・ROとも手動ポンプで加圧する方式のため、電気は使いません。停電中でも浄水できます。
過去の大地震では、断水が数週間から数か月続いたケースがあります。最低3日分という備蓄の目安は大切ですが、それだけで最後まで乗り切れるとは限りません。
発災〜3日目は、すぐ飲める備蓄水でつなぐ。
4日目以降は、家にある水を浄水器で飲み水に変えて、給水所通いを減らす。
浄水した水は、その日に使う分だけつくる。
まずは「家族の人数 × 3L × 想定する断水日数」を計算して、備蓄だけでは足りない量を確認してみてください。その不足分をどう埋めるかが、わが家の水の備えの出発点になります。
家にある水を毎日の飲み水に|コッくん飲めるゾウ ミニ(MJMI-02)
川・池・井戸の水まで原水に|コッくん飲めるゾウRO(MJRO-02)
逆浸透膜(RO膜)採用・浄水能力 約52L/時(0.05MPa加圧時)・タンク約12L・フィルター寿命7年目安(未使用時)
参考価格:126,000円(税込)
楽天市場店でも取り扱っています:楽天市場店の商品ページ
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【出典】農林水産省「災害時のために、備えていますか?」/国土交通省 水管理・国土保全局「令和6年能登半島地震を踏まえた上下水道の主要施策リストの公表について」/日本水道協会「令和6年能登半島地震における日本水道協会の応援活動と得られた課題・教訓」(国土交通省掲載資料)/北陸地方整備局「水道整備・管理行政の移管と令和6年能登半島地震における対応」/札幌市水道局「水の備蓄」
※本記事のスペック・浄水可能な水・除去対象は、メーカー公表値および各商品ページの記載にもとづいています。
※浄水後の水質は原水の状態や使用環境によって異なります。使用時は必ず取扱説明書に従ってください。
※価格は2026年10月時点の情報です。最新の価格・在庫は商品ページでご確認ください。